エシカルノーマルが手掛けるハウスクリーングのイメージ(エシカルノーマル提供) |
本川誠社長 |
ハウスクリーニング代行を手掛ける「エシカルノーマル」は、定期清掃に微生物の力を応用するバイオ洗剤を用いたサービスをチェーン展開している。競争が過熱する業界に一石を投じ、“SDGs(持続可能な開発目標)時代のハウスクリーニング”をテーマに設定。人体や動物、海洋など自然環境への配慮を念頭に「おうちだけでなく、世界もきれいにする」をスローガンとして打ち出している。
野村総研の推計によると、家事代行を含めた「家事支援サービス」の市場規模は、2025年には最大8130億円に到達するとしている。調査した17年時は698億円で、10倍以上に膨らむ計算だ。さらにこの数年は新型コロナウイルス禍で在宅時間が増え、家事負担が増加していることも拍車をかけそうだ。
「業界は件数、スピード勝負になってきている」。個人の参入も手伝ってサービスの値崩れが起きつつある中、本川誠社長(45)はこう指摘する。さらに汚れを落とすため、劇薬も含む環境負荷の大きい洗剤が広く使われていることにも警鐘を鳴らす。
同社が実施する代行サービスは作業時間単位で受注し、エアコンや換気扇、水回りなどの洗浄を「住環境ごと」引き受ける。低刺激のバイオ洗剤を活用して「きれいごとできれいにしよう」と、ユニークなうたい文句でPRしている。
一方、長年にわたって蓄積した頑固な汚れを落とすには、それだけ強力な洗剤が必要になる。「刺激が弱め」「環境に配慮する」ということは矛盾を抱えることになるが、本川社長は「毎月の定期清掃で時間をかけ、『汚れたこと』にすぐ気付けるよう、住環境ごときれいにすることを心掛ける」と説明する。
ターゲットは特に化学物質に過敏なアトピー、ぜんそくなどの基礎疾患がある人や、赤ちゃん、ペットのいる家庭。個人に波及しやすい皮膚科や産婦人科などのクリニックにもアプローチしていく方針だ。また、洗剤だけではなく、道具や移動手段、余暇の過ごし方に至るまで、社会・地球環境に配慮した行動を意味する「エシカル」な生活様式を社員にも求める。
同社は本業の地域ビジネスから昨年6月に独立させ、社名には「エシカル」が「ノーマル」(標準的)に、という意識啓発への展望を込めた。本川社長は「大手にはブランディングで勝負するしかない。業界のオセロを黒から白に引っくり返したい」と力を込める。